ホラー小説感想 : 森が呼ぶ
ここ数ヶ月、異教系ホラーを読み漁ってましたが、最近で一番ゾッとした本です
[あらすじ]
出版社の小説大賞に送られてきた一篇の小説原稿。
それは失踪した昆虫学専攻の大学院生から著者の元に送られてきた〝奇怪な手記〟だった――。
森奉教という土着の宗教が根づく山村、犬啼村。
村の神事を司る狗神家の次女・阿字蓮華は、死んだ姉に代わり急遽村に戻って家督を継ぐ。
大学院での研究も半ばに窮屈な村に囚われて生きることになった親友の身を案じ、
手記の綴り手である「私」はお盆休みの間、フィールドワークを兼ね犬啼村を訪れる。
おりしも村は二十年に一度の大祭前夜。
祭りの取材にきていた大学准教授・鵜飼とともに奉森教の歴史を調べるうち、「私」は村に隠された恐ろしい秘密を知ってしまう……。
小説サイト〈エブリスタ〉と竹書房主催の「最強小説大賞」の第2回大賞作品らしいです。
第1回大賞の「ヴンダーカンマー」星月渉著 も読んだのですが、この賞はえらいヤバい作品が多い印象
怖いのはもちろんですが、後味悪いの好きな人は好きかも、という作風が多い気がします
同じ小説サイトでも角川の〈カクヨム〉とは雰囲気違う感じですね
※以下感想 ネタバレ注意※
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それまで「訳のわからない異形のものが怖い」って小説を続けて読んでたから、今回の恐怖はだいぶ新鮮でしたね
虫かぁ……リアルなんだよね……
虫全然嫌いじゃないし、むしろ子供の頃に虫とりとか行ってたので、噛まれたり這われたりはしたことあるんですよね
山手に住んでたらそう言う人多いと思うんですが、虫の感触も動きも全部リアルに思い出せる
同じ虫でも、映画ハムナプトラのスカラベとかは知らない虫だし「見た目が気持ち悪いな」くらいなんですが…
ここに出てくる蟻とか蜂とかカマキリとかミミズとか全部見たことあるじゃん
嫌でも頭に光景が浮かんで悪寒が走ります
虫好きな人の方がより怖かったりするのかな
話の展開はテンポがいい、というより日記の形をとっているので無駄なところ書かれてなくて読みやすい印象ではありました
でも後半の畳み掛けが凄い
恐怖を感じる対象がころころ変わるので、えーーー!そっち行くのーーー!って後半ずっと思ってました
着地点も、それいいんだ…って思ってしまうほど、最初の展開からは予想だにしていなかったところに落ちていきましたね
ラストの展開はぶっ飛びすぎてギャグかなーと思うほどでしたが、最後の最後で一番ゾッとしました
脈絡のない言葉って怖いね…
最初目に入った時もドキッとするし、見間違いかなーと思って改めて認識した時の胃の底が冷える感じ
入れ方も上手いなと思いました
最後まで怖いもん
読み終わったあとに納得感も安心感も爽快感も何も無いけど、ただただ忘れられない小説になりました
ぜひ読んでトラウマ残しましょう