小説感想 : アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険
[あらすじ]
「プレスター・ジョンの王国を探せ!」
マルコ・ポーロが『東方見聞録』を発表したのと同じ頃、行ってもいない東方世界の旅行記を著した稀代のペテン師ジョン・マンデヴィル。世に出るのを厭い、苔と羊歯の庭いじりを唯一の喜びとしていた息子アーサーは、ある日教皇から呼び出され、亡き父の書に記されたプレスター・ジョンの王国を探すよう命じられる。
しかしその情報源は父の遺したデタラメ旅行記だった。
これぞ大人のファンタジー!
主人公が出不精の超インドア人間なので、休日を読書やサブスクで潰す我々にはぴったりの冒険譚です
お家に帰りたい…でも自分の好きなものの為ならもうちょっと行ってみようかな…のスタンスにめちゃめちゃ共感します
アーサーたちが出会う不思議なできごとは、空想のものっぽいんだけれど、あれ?どこかで聞いたことある?
どこかの伝説や、それこそ昔の歴史書にあったかもしれないようなものばかりで、当時の人たちは本当にそれを見ていたのではないかと思うほど
像の頭蓋骨がサイクロプス(一つ目巨人)だと思われていたのと同じ雰囲気の「不思議」がいっぱいでとてもワクワクします
内容ももちろんですが、何より装丁が非常に素敵
表紙と裏表紙の内側にそれぞれ絵巻がついてるんですが、読んでから広げてみると、アーサーたちの軌跡が異国風のイラストで綴られていて、旅のアルバムを見ているような気分になります
絵巻はネタバレ含むので、ぜひ読後に見るのをおすすめします
手元に置いておいて、何気ない時にパラパラめくりたくなる本
書影好きな方にもおすすめです