ミステリ小説感想 : サーカスから来た執達史
今年の本屋大賞に「方舟」でノミネートされた夕木春央さんの大正浪漫ミステリー
少し幻想的でどんどん引き込まれてあっという間に読んでしまいました
[あらすじ]
「あたし、まえはサーカスにいたの」
大正14年。莫大な借金をつくった樺谷子爵家に、晴海商事からの使いとしてサーカス出身の少女・ユリ子が取り立てにやって来た。
返済のできない樺谷家は三女の鞠子を担保に差し出す。ユリ子と鞠子は、莫大な借金返済のため「財宝探し」をすることにした。
調べていくうちに近づく、明治44年、ある名家で起こった未解決事件の真相とはーー。
小説家を夢見る箱入りお嬢様が、名家の陰謀渦巻く宝探し合戦に巻き込まれていくミステリーアドベンチャーです
ストーリーも伏線あり、謎解きありの王道ミステリーで楽しかったのですが、キャラクターが魅力的で引き込まれました
※以下感想 ネタバレ注意※
小説読んでる時って声優さんの声でセリフが脳内再生されませんか?私はするのですが
今回はまさにそれで、主人公のおてんばお嬢様がcv日高のりこさん、奇想天外なサーカス少女がcv水田わさびさんでずっと再生されてました
割と勧善懲悪系なので読了爽やかで、血みどろホラーの合間の癒しでサクサク読んでおりました
明治〜昭和初期のミステリーが大好きなので、台詞回しとかトリックも含めて好きでしたね
現代的なギミックを駆使するミステリーより、新聞とか図書館とかで情報を探す話の方がワクワクします
夕木さん他にも大正ミステリーを書いてらっしゃるそうなので、それも読んでみたいです
小説感想 : 生命式
よく見る読書系YouTuberの方が村田沙耶加さんの大ファンという事で私も読んでみました
単行本の装丁もとても素敵で欲しかったのですが、文庫版もなかなか不気味で素敵
1冊に12篇入った短編集で、それぞれそんな長くないのでサクッと読みやすい
でもそれぞれ癖が強くて読み応えはどっしり
なんだかカロリーの高い1冊でした
※以下感想 ネタバレ注意※
どの話も今の自分の倫理観をガツガツ揺さぶられるような話ばかり
「おかしな人」や「おかしな世界」の話ではなく、読んでると自分の価値観がおかしいのではないかと錯覚するようで、でもとてもリアルな生活感がある話ばかりです
今の世界にとてもよく似ているパラレルワールドに迷い込んだ気分になりました
一番自分の価値観にブッ刺さったのは2篇目の「素敵な素材」
SDGsが叫ばれる時代にこれは色々考えさせられます
ちなみに私は人骨家具ありだと思いました
動物の毛皮取るよりよくない?と思った派です
それくらい説得力があったんですね
どの作品もグロくないけどなんだか生々しい、人肌を感じる気がします
ちょっと気持ち悪い話も多いけど、文体は綺麗で読みやすくて、気軽に触れられる狂気って感じです
この世界観は好きな人はとことん嵌まりそうですね
次は「殺人出産」読みたいと思います
日記 : 積読録
今週のお題「読みたい本」
積読の中でも、すぐ読みたいものor読みかけてるものを実際に積んでみました
こちらは先月買ったやつ
「ババヤガの夜」 王谷晶
文庫化楽しみにしてて発売週に買ってきました 装丁も好き
「赤い部屋異聞」 法月綸太郎
江戸川乱歩のオマージュという謳い文句に誘われて買いました 表題作を読みましたが乱歩ファンは読んだ方がいい
こっちは昨日買いたてほやほやのやつ
「三重露出」都筑道夫
カバーアートが桃桃子先生ということで購入 推しアメコミアーティストです 日本の書店の文庫コーナーに並んでるなんて最高すぎる
見た瞬間購入用に手にとってました フェスター叔父さんが好きです
読みたい本を積んでるだけでも幸せですね
映画感想 : 岸辺露伴 ルーヴルへ行く
映画
映画決まった時からめちゃめちゃ楽しみにしていたのを、やっと見に行ってきました
高橋一生が演じてる役で露伴先生が一番好き(次点でドラマ「カルテット」の時)
癖の強い役の高橋一生大好きです
[あらすじ]
青年時代、露伴は淡い思いを抱いていた女性から、この世で最も邪悪な「最も黒い絵」の噂を聞いた。それから時がたち、その絵がフランスのルーブル美術館に所蔵されていることを知った露伴は新作執筆の取材と、かつてのかすかな慕情のためにフランスを訪れる。しかし、美術館職員に「黒い絵」の存在を知る者はなく、データベースによってヒットしたその保管場所は、今はもう使われていないはずの地下倉庫「Z-13倉庫」だった。
(映画.com https://eiga.com/movie/98646/ より)
※以下感想 ネタバレ注意※
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過去一「怪異」っぽい話でしたね
日本の絵の呪いが、海外の美術館で人を殺しているっていうのは不思議な設定だなーと思ったのですが、ジョジョって元々ヨーロッパの話か
原作にもある話なんですね
荒木飛呂彦作品と西洋美術の親和性も高いし、ルーヴルも展覧会があったから漫画との親和性が高いイメージです
フランスにも漫画オタク多いですもんね
とにかく実写露伴先生とルーヴルの絵がいい!
パンフレット普段あんまり買わないのですが、ちょっと迷ってます
・露伴先生と黒い絵の関係について
露伴先生が黒い絵を見て助かったのは、単に主人公補正では無いような気がするので思ったこと整理
黒い絵の呪いの致死率って100%で無いし、実際助かってる人は劇中でも何人かいました(泉ちゃんも見てたのになんとも無かった)
でも、露伴先生は「過去を完全に断ち切らないと死ぬ」と言ってました
エマは絵を見た後でも逃したのに、なんで自分逃げないの?
露伴先生は、ルーヴルの地下で「自分は絵師の子孫」と思っていたのではないかな、と推察します
自分の過去だけでなく、自分の先祖の過去も襲いかかってくるので、自分の罪の意識には関係がないと言っていました
自分の血が、呪いの絵を描いた本人のものであるなら「絶対に逃れる事はできない」ということかなと
でも実際は、絵を描いた仁左衛門ではなく、妻の奈々瀬の方が先祖でした
露伴先生の「過去」は、「絵の呪い」自体ではなく、「夫を止められなかった後悔」になるのです
だから地下でも奈々瀬が出てきて助けられたのだと思います
映画前半で泉ちゃんが「露伴先生ってモナリザに似てますね」って言ってたセリフ
そんな似てないだろ、と思ってたら、最後に出てきた奈々瀬がモナリザそっくり
メイク、髪型、服装まで寄せてて、そういう事か!!と思いました
これ原作でも同じなんですかね
読みたいな
・ルーヴルに関して
ルーヴルの地下は消防士の人同行じゃないと入れないってのは本当なんでしょうか
だとしたらめちゃめちゃ面白いですね
美術館自体が不思議なダンジョン
ダヴィンコードでもルーヴルは取り上げられてましたが、美術「作品」じゃなくて、美術「館」のミステリー、色々調べてみたくなりました
今年も年末に新作エピソード出してほしいですね
見た後に絶対、露伴先生のストレッチやりたくなります
手首の角度は直角90度を保つ…
読書感想 : 物理学者、SF映画にハマる
本屋で見つけてタイトル買い
映画よりだいぶ科学的な話に寄った本でした
映画に出てくる、例えば「タイムトラベル」であったら、「実際には不可能だけど、現実的に考えるならこれはこういう原理だよねー」とか、「こういう描き方だったら矛盾が少ないかなー」とか、そんな感じの温度感です
「デロリアンを実現させるにはこれが必要だ!」とか「ターミネーターのいる未来ではこんな技術があるのだろう!」といった内容を少し期待していたのですが、ものすごくリアルな科学の本でした
「映画を題材にした時間と宇宙の物理学の超入門」といった副題でもいいかも
個人的に「スターウォーズ」の章でスタートレックの解説が出てきた時は、分けろよ!!と思ってしまった…内容的には「星間移動」の話だったから一緒でもいいんですけどね…
科学雑学の本としてはとても面白くて、知ってる話をとっかかりにしてくれているのでわかりやすくて読みやすかったです
バックトゥーザフューチャーとかは「映画の話はおいといて、タイムトラベルは…」感が否めなかったけど、ノーラン作品のTENETとインターステラーは他のどの映画よりも内容の解説がしっかり書かれてました
さすが初見で理解できない映画なだけあって、物理学のプロが見ても根拠に基づいた内容なんですね
公開時にも結構言われてたけど改めて実感
これ1冊分の知識が頭に入ってると、次SF映画見る時に違った視点で楽しめるかなーと思います
日記 : 今楽しみな映画
これから公開のムビチケまとめて買ってきました
スパイダーバースとフラッシュが同じ日公開ってやばい忙しすぎるどっち先見よう
スパイダーバースはコミコンで買ってきたので海外版ポスターついてきましたー
スパイディのトイレットペーパーホルダーも買ってきたから今トイレに飾ってます
パールはヒグチユウコさんのポストカードが欲しかったから購入
絵柄合うーーー素敵ーーー
ヒグチユウコさんのホラー映画ポスター最高なんですよ
ミッドサマーのやつもすごく好きなんだけど公開当日パンフレットとか一切買えなかった…
トランスフォーマー も楽しみですね!
ビーストウォーズアニメで見てた世代なので予告でぶち上がり
オモチャ出たら欲しいな
小説感想 : アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険
[あらすじ]
「プレスター・ジョンの王国を探せ!」
マルコ・ポーロが『東方見聞録』を発表したのと同じ頃、行ってもいない東方世界の旅行記を著した稀代のペテン師ジョン・マンデヴィル。世に出るのを厭い、苔と羊歯の庭いじりを唯一の喜びとしていた息子アーサーは、ある日教皇から呼び出され、亡き父の書に記されたプレスター・ジョンの王国を探すよう命じられる。
しかしその情報源は父の遺したデタラメ旅行記だった。
これぞ大人のファンタジー!
主人公が出不精の超インドア人間なので、休日を読書やサブスクで潰す我々にはぴったりの冒険譚です
お家に帰りたい…でも自分の好きなものの為ならもうちょっと行ってみようかな…のスタンスにめちゃめちゃ共感します
アーサーたちが出会う不思議なできごとは、空想のものっぽいんだけれど、あれ?どこかで聞いたことある?
どこかの伝説や、それこそ昔の歴史書にあったかもしれないようなものばかりで、当時の人たちは本当にそれを見ていたのではないかと思うほど
像の頭蓋骨がサイクロプス(一つ目巨人)だと思われていたのと同じ雰囲気の「不思議」がいっぱいでとてもワクワクします
内容ももちろんですが、何より装丁が非常に素敵
表紙と裏表紙の内側にそれぞれ絵巻がついてるんですが、読んでから広げてみると、アーサーたちの軌跡が異国風のイラストで綴られていて、旅のアルバムを見ているような気分になります
絵巻はネタバレ含むので、ぜひ読後に見るのをおすすめします
手元に置いておいて、何気ない時にパラパラめくりたくなる本
書影好きな方にもおすすめです